旭化成メディカル株式会社 が “ビタミンE固定化ヘモダイアフィルター” を国内新発売

特集
医療ニュース(血液透析)

中空糸の内表面にビタミンEを固定化した血液透析濾過器「ヴィエラ V-TA」および持続緩徐式血液濾過器「ヴィライフ」の本格販売を開始

旭化成メディカル株式会社 が “ビタミンE固定化ヘモダイアフィルター” を国内新発売しており、2025年11月に製品追加情報が出ています。
膜にビタミンEを固定化することで 抗酸化作用/炎症軽減効果を狙った設計。

旭化成メディカル「ビタミンE固定化ヘモダイアフィルター」新発売のポイント

旭化成メディカル株式会社が、ビタミンEを固定化したヘモダイアフィルター「ヴィエラ(V-RA / V-TA)」シリーズを国内で拡充し、
2025年には新モデル「V-26TA」も追加されました。酸化ストレスや炎症反応を抑えつつ、アルブミン漏出をできるだけ抑えることをめざした“次世代型”の透析膜として注目されています。

ビタミンE固定化ヘモダイアフィルターとは?

「ヴィエラ V-RA / V-TA」シリーズは、透析膜表面にビタミンEを固定化したヘモダイアフィルターです。
ビタミンEの抗酸化作用を利用することで、血液と膜が接触する部分での酸化ストレスや炎症反応を軽減し、生体適合性の向上をねらった設計になっています。

特にHDF治療向けのV-TAシリーズでは、アルブミンなどの栄養蛋白の漏出を抑えながら、中分子を含む毒素の除去性能を確保する点がポイントとされています。

主な特長(簡潔まとめ)

  • ビタミンE固定化膜による生体適合性の向上:酸化ストレスや炎症反応を抑えることが期待される。
  • アルブミン漏出を抑えた設計(V-TAシリーズ):大量置換HDFでも栄養蛋白の損失をできるだけ抑えるコンセプト。
  • 従来膜と同等以上の除去性能:尿素クリアランスなど基本的な除去性能は維持しつつ、安全性とバランスを重視。
  • 高齢・合併症をもつ患者への適応が期待:治療中の身体的ストレス低減を狙った膜として、個別化透析の選択肢になり得る。

臨床・運用面でのポイント

ビタミンE固定化ヘモダイアフィルターは、高性能膜としての除去能力と、長期透析患者の炎症・栄養状態への配慮を両立させようとする試みと言えます。
一方で、後希釈の大量液置換を行うHDFでは、条件によってアルブミンなどの蛋白質の損失が増える可能性も指摘されており、
血清アルブミン値や体重変化などのモニタリングが重要です。

透析施設としては、「どのような患者に、どの条件で使用するか」をチームで検討し、
導入時には治療条件・置換量・観察項目を共有しておくことが求められます。
膜素材や構造の違いを理解したうえで、患者ごとの背景(高齢、合併症、栄養状態など)に合わせた膜選定がポイントになります。

まとめ

旭化成メディカルのビタミンE固定化ヘモダイアフィルター「ヴィエラ V-RA / V-TA」シリーズは、
生体適合性の向上とアルブミン漏出のコントロールを重視した、次世代型のヘモダイアフィルターとして位置づけられます。
高齢透析患者が増えるなかで、「膜の選び方」そのものが治療の質やQOLに直結する時代になりつつあり、
今後の臨床データの蓄積が期待されます。

参考・情報源

※最新の使用方法・適応・注意事項については、必ずメーカー公式資料および添付文書をご確認ください。